納涼船

待ちに待った納涼船。

しかしテンション全然上がらなかった。


それは自分が思っているのと全然違ったからだ。

納涼船じゃなくて、自分の身体のこと。


納涼船に間に合うために前日りぃなさんからいくつメイク用品をもらった後、足りないものも買った。分からないところはとりあえず聞いて、もうありがたくてその気持ちをどう表すのがわからなかった。

そして当日。

実際に使ってみた。学校のトイレで、緊張しながら。以前BBクリームだけは使ったことあって、まあ肌は綺麗になれるのは分かっている。一番ワクワクしたのがアイとチーク。かわいくなれれば!


実際にも、

とても使いやすかった。


けど顔は変わらない。

変身なんて夢だもん。メイクだけで理想な顔になれるなら整形もないしブスと呼ばれる人は存在しない。

鏡に映っているのは、肌が綺麗で健康なオジさんだけ。

「誰ですか?」と聞きたいほど、その姿が自分である事実から回避したい。


「絶望」。

私にとって、メイクして変わるのはもう最後の幻想。

女性ホルモンを飲めば女の子になれるとか、血液検査出して実は女の子とか

20歳の成人としてこれ以上バカバカしい思いがない。

ホルモン飲んでも女の子にならなかった。

血液検査の結果にお医者さんは「身体には問題ないね。普通の男性」

と、死刑を宣告してくれた。

専門家なのに、身体には問題ないと…問題だけじゃないか。


私は最低。

自分がMtFで一番MtFさんたちの気持ちをわかるはずなのに、MtFさん達を女の子としては見れない。

理解するし認めるしそういう風にも思いたいけど、頭のどこかで「女の子じゃない」という信号が出ている。


頑張ってもできないことを一筋でやるのは、果たして意味があるのかしら。

パス度の高いMtFさんはみんな10代からホルモン受けてる。

私はもうタイミングを逃した。

もちろん家出てホルモンを手に入れたら今の自分はいないだろう。良好と言える教育を受けてきて早稲田大学にいる自分。

でも、そんなの望んでいない。

本当にほしいのは、

楽しくなりたい。

なんで難しいの。


話を戻ろう。

今日の納涼船いっぱい人来てた。人が多くなるとどうしてもにぎやかに(うるさく)なる。ぐろうのみなさんは思っていたよりずっとワイワイできる。

あー

楽しそう。

楽しそうな場所に自分はいらない。

毎日楽しいふりをして疲れている私は楽しくなくてもいられる方が居場所。

それはたぶんぐろうではない。

やはり一人の方がいい。

誰にも迷惑かからないので。


ぐろうのみなさんを見てポジティブになれると呟いたけど、それは本当だった。偏見を受けてきたゲイやビアン達がここで本当の自分のままにいられる。それ以上に、好きな相手ができるかも。優しい世界じゃないか。

羨ましい限りだわ。

ゲイになれるならゲイになりたいね。ビアンは贅沢すぎるから。


私は本当にトランスジェンダーなのか。

自分のことは本当に女の子だと思っているのか。

そう、と答えたらウソだよ。

女の子なはず、とは思っているが、自分の身体を見ればそれは男だとわかっている。

だから自分の身体が自分のものと思えない。

誰から預かってもらったかな。

だったら、いらない。

自分の方がいい。


タイトルだけ納涼船にして納涼船のこと何も書いてなかった。

明らかに頭がおかしい。


最近、考え方もどんどん極端になってきた。例えば、性同一性障害者を全部死刑にすればいいのになーと。そうなったら自殺せずに死ねる。自殺という罪名を負わずに楽になれる。

線路に飛び降りても迷惑。

ビルから飛び降りても迷惑。

こっそり死んで腐っても迷惑。

私なんて最初からいなかったら良かったのに。